競技経験を生かした
新しいエンタテインメントに挑戦
青年海外協力隊に参加し、
自分の可能性を見いだした
かつて平泳ぎのエースとして活躍した不破央さんは、今もプールを舞台に活躍している。競技生活を引退した5年後に水中芸能集団「トゥリトネス」を結成。プールでさまざまなパフォーマンスを繰り広げるという、まったく新しいジャンルのエンタテインメントショーを考案し、全国各地で公演を行っているのだ。もっとも、それまでの道のりは決して平坦ではなかった。
「引退したら子供の頃から好きだった絵画や造形の仕事に就こうと思っていましたが、ある人に相談したら修業経験もないのに考えが甘すぎるといわれ、いっぺんに目標を失ってしまった。たまたまポスターで知った青年海外協力隊に応募し、中米グァテマラ共和国に水泳の普及・指導員として赴任しました」
日本にいてもやりたいことがないのだから海外で暮らすのも悪くはないだろう。そんな軽い気持ちで参加したが、そこで子供たちに水泳の指導を行ううちに、何をしたいのか漠然と見えてきたという。
じっとしていては始まらない
何か行動を起こすことが大事
「グァテマラでは水泳の楽しさをわかってもらおうと、子供たちと水遊びをするところから始めました。へんな泳ぎ方をして笑わせたり、鬼ごっこをしたり……。そのうち人を笑わせたり、感動させることに喜びを感じるようになり、帰国後、エンタテインメントの世界に挑戦してみようと思ったんです」
最初は喜劇俳優を志すが、やがて道化師という仕事に興味を抱く。しかし、道化師として芸を確立させていくのは容易ではない。いろいろ考えるうちに「自分が最も得意とする水泳と組み合わせたら絶対にいけるかもしれない」とひらめき、「トゥリトネス」結成へと至ったのだ。
「青年海外協力隊に参加したのは思いつき以外の何ものでもなかったけれど、それが大きな転機になった。じっとしているだけでは何も始まらない。とにかく何でもいいから行動を起こすことが大事だと思います」
現在に至るまでの軌跡
1993年
現役を引退。子供の頃から好きだった美術の世界で生きていくことを模索するも断念。青年海外協力隊の一員としてグァテマラに赴任
1995年
グァテマラから帰国。喜劇俳優を目指してワークショップなどに参加。翌年、演劇仲間と劇団を結成。小劇場で公演を重ねる
1997年
道化師の養成学校で学び、プロの道化師に。商店街のイベントや結婚式、パーティなどを中心に活動する
1998年
水中芸能集団「トゥリトネス」を結成し、全国で公演を重ねる。現在、メンバーは元シンクロの選手など約10名を数える
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【関連リンク】
●トゥリトネス公式サイト
【プロフィール】
不破 央(フワ・ヒサシ)
1968年静岡県生まれ。中学時代から平泳ぎの選手として頭角を現し、高校時代に日本選手権100m平泳ぎで優勝。その後も世界選手権などで活躍。25歳で競技生活を引退。青年海外協力隊参加を経て、98年「トゥリトネス」を結成。映画およびドラマ「ウォーターボーイズ」のシンクロの演技指導にも携わった。
*JOC発行の「キャリアトランジションvol1」(2004.11発行)をWEB用に改稿して、掲載しています。
(取材:2004年9月)